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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第3講義:動脈産業と静脈産業(1)】

3.1. 動脈産業はメイン・ストリームか
    3.1.1. 高度経済成長の記憶
      ●1955年から1972年までの17年間にわたって、日本経済は実質経済成長率約10%を記録した
      ●しかしこの経済成長は、いわゆる動脈経済の成長であった
      ●動脈経済から排出される残余物を処理・再資源化する静脈経済の発展はおざなりにされた
      ●そのツケが現在に回ってきている
    3.1.2. 繁栄の光と影
      ●バッズの排出による害は、まず公害となって現れた
      ●昭和40年代、東京では「ごみ戦争」も起こった
      ●これらのことは、静脈経済と比べて動脈経済がアンバランスに発展した結果である
      ●動脈経済には、資本・技術・人材(人的資本)が集中するが、静脈経済ではこれらの要素が不足がちであった
      ●天然鉱石から資源を分離・抽出する技術は発展したが、使用済み製品・素材から資源を分離・抽出する技術も発展していない
    3.1.3. 静脈の見えない部分
      ●「買う」という経済行為に比べて「捨てる」という行為は、経済行為として意識されにくい
      ●一般廃棄物の有料化は徐々に始まっているが、廃棄することの負担感は小さい
      ●すなわちバッズの適正処理・再資源化には費用がかかるということが認識されてこなかった
      ●最近、市民の間でも企業の間でも、バッズの適正処理・再資源化に対する認識が高まってきた

3.2. 潜在技術の顕在化
    3.2.1. 潜在技術
      ●科学技術的に知られていても市場経済で利用されない技術を潜在技術という
      ●静脈経済の技術には潜在技術が多い
      ●静脈技術が潜在技術のままだと、どれほど素晴らしい技術であったにせよ、環境保全の役に立たない
    3.2.2. 技術と付加価値
      ●市場経済では、より高い付加価値を生み出す技術が経済で採用される
      ●付加価値とは市場で評価される価値であり、いくら優れた静脈技術でも付加価値を生み出さない限り、市場経済では採用されない
      ●たとえば1960年代、公害発生の初期の時代、排煙脱硫装置は潜在技術であった
      ●望ましい技術でも市場経済では採用されない
    3.2.3. 競争による顕在化、規制による顕在化
      ●動脈技術は、より付加価値をもたらす限り採用される
      ●そして技術は外部性を持つので、より優れた技術の発展がもたらされる
      ●静脈技術は規制や、何らかの制約要因が働いてはじめて顕在化する
      ●公害時代に法規制によって採用された静脈技術がそのような例である
    3.2.4. 市場リサイクルが止まる?
      ●市場経済では環境の保全や、環境の質の改善は付加価値として評価されにくい
      ●こうして環境制約のない市場では、従来からあった静脈技術でさえ淘汰される可能性がある
      ●所得が増加すると、相対的に天然資源の価格は安くなり、再生資源の価格は高くなる
      ●このような場合再生資源技術(静脈技術)は淘汰される可能性がある

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