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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第6講義:バッズとゼロ・エミッション(2)】

6.1. バッズの発生抑制と排出抑制
    6.1.1. なぜバッズは減らないか
      ●従来型の経済には、バッズの発生・排出抑制のメカニズムがない。
      ●動脈経済は、価格メカニズムが作用し、資源の最適配分を達成する。
      ●バッズの処理に必要な費用を最小化するような動機がない。
      ●バッズの費用は、市場を通じて価格シグナルとして動脈経済に伝達されない。
      ●動脈経済のみの効率性では、経済全体の効率性は担保されない。
    6.1.2. バッズの発生・排出抑制と市場経済の問題点
      ●発生抑制とは、生産段階でもともとバッズになりにくいように工夫されていること。
      ●排出抑制とは、再利用や再資源化によってバッズが排出されないようにすること。
      ●ビール瓶などのリターナブル容器は、発生抑制がなされている例。
      ●経済主体の経済的な利己的動機のみでは、バッズの発生・排出抑制はなされない。
      ●経済主体が分断化された社会では、バッズの発生・排出抑制は困難である。
      ●飲料容器の場合、売りたいがために、色々素材・色の容器を作ったために、発生・排出抑制がなされなくなった。
    6.1.3. 価格調整と数量調整
      ●バッズの発生・排出抑制のために市場メカニズムを放棄することはできない。
      ●バッズの影の価格を正確に計算し、それを動脈経済に信号として伝えることが必要。
      ●ごみ処理の有料化もその一例。これは価格調整による誘導。
      ●東京都23区は、延べ床面積1,000平方メートル以上の事務所に排出抑制の指導をしている。これは数量調整による誘導。
      ●これらの方法は、大気汚染物質や水質汚濁物質など削減にも応用できる。
      ●また価格調整と数量調整の両方をミックスして、発生・排出抑制の手段として使うこともある。

6.2. ゼロ・エミッションは可能か

    6.2.1. 再生資源の需給調整
      ●不要な残渣をゼロにすることは不可能なので、厳密なゼロ・エミッションは困難である。
      ●但し、異なる経済主体をうまく結びつければ、残渣を有効利用することによって、最終的残渣を極力小さくすることは可能である。
      ●価格メカニズムがうまく働くグッズとことなり、バッズは価格調整がうまく機能しないので、残渣について需給バランスをとるのが難しい。
      ●残渣の産出と投入をうまく調整する別の機能が必要になる。
    6.2.2. バッズからグッズへ
      ●ゼロ・エミッションのポイントは、バッズをグッズに転換する仕組みを作ること。
      ●たとえば飲料容器の統一化、標準化を行えば、分別・収集費用が削減され、グッズとして回る可能性が高くなる。
      ●レジームのあり方によって、同じものがグッズにもなるしバッズにもなる。
      ●再資源化してグッズにする場合、どこかの段階でそのための費用補填をしなければならないかもしれない。
    6.2.3. カスケード利用のメリット
      ●モノによっては、使用後、質の劣化にあわせた資源利用が効率的な場合がある。
      ●たとえば、スチール缶をリサイクルしたとき、元の素材よりも劣った質の鉄として使いまわされる。
      ●古紙も、だんだん繊維が短くなるので、素材としての質が悪くなる。質の劣った紙として再資源化するのが効率的。
      ●以上のような再資源利用をカスケード利用と言うが、効率的なカスケード利用の仕組みを作ることが重要。
      ●肝心なのは最終的に埋め立てられるバッズを極小化すること。
    6.2.4. ミクロとマクロの乖離
      ●個別企業がゼロ・エミッション達成を強調することがある。また企業団地などでゼロ・エミッション達成をしたというところもある。
      ●しかし小さい範囲で再生資源を有効に使いまわすことは難しいことがある。
      ●廃タイヤなどを一企業内部や、一小地域で再利用・再資源化することは困難。
      ●しかしどのような範囲でモノを使い回せばゼロ・エミッションにつながるか研究は少ない。
      ●しっかりしたレジームを作り上げないと、ミクロではゼロ・エミッションでもマクロではそうでないという矛盾が起きてしまう。

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