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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第7講義:安定した市場リサイクルの条件(1)】

7.1. 市場リサイクルの可能性
    7.1.1. 市場リサイクルの条件
      ●リサイクルの単位費用がリサイクル製品の市場価格と等しいとき、この製品は市場競争力をもつ。
      ●この場合、このリサイクル産業は実質的に動脈企業であり、行政の介入なくして資源配分の効率性に資する。
      ●リサイクル製品が市場性をもつためには、費用のより小さい技術の存在、適量の再生資源・再生素材の供給が必要である。
      ●一方、再生資源・再生素材に対する需要の確保も必要である。
    7.1.2. 優等生だった古紙のリサイクル
      ●日本の国民所得が小さく、円相場が安かったとき、古紙は貴重な資源であり、グッズとして使いまわされた。
      ●しかし国民所得が増加し、円相場が高くなると、古紙は必ずしも貴重な資源ではなくなり(相対的に安いパルプがあった)、古紙の需給バランスは崩れるようになった。
      ●一部回収され残った古紙はバッズとして焼却されたりした。
      ●更に、古紙の需要面を考慮せず古紙の回収ばかりを進めると、価格に無関係に古紙が供給されることになり、更に需給バランスは悪くなり、古紙は余剰になった。
      ●こうして古紙をリサイクルするのに16 ̄17円/kgかかるが、古紙の買値がこれを下回るようなことも起きるようになった。
    7.1.3. ビール・ビンのリターナブルシステム
      ●ビール・ビンはリターナブルが続いており、リサイクルの優等生であった。
      ●ビール・ビンには1本5円の預託金(デポジット)がかかっている。
      ●ビール・ビンは行政介入がなくとも、市民が集団回収せずともリターナブルビンとして用いられている。
      ●それはビール・ビンが標準化されており、流通・逆流通のシステムが出来上がっているからである。
    7.1.4. リターナブル容器の危機
      ●かつて清酒の容器も1升ビンを中心にリターナブルであったが、今このシステムが崩れつつある。
      ●バブルの時期、販売促進のために容器の形・素材・色などを多様化したため、再利用のための分別費用などが上昇し、再利用するインセンティブが小さくなった。
      ●各メーカーが勝手に容器の形を競って変えたため、同じ形・素材・色の容器が集めにくくなったのである。
      ●ペット容器の登場も、リターナブル容器の再利用を妨げる結果となった。
    7.1.5. Rビンの悲劇
      ●国は、清酒ビンの標準化を狙って、500mlの緑の統一容器(Rビン)を推奨した。
      ●しかし流通量が小さいため、リターナブルビンとして用いられる機会は少ない。
      ●従来ある容器のなかの一つとしてRビンが導入されたため、Rビンを使う動機は小さかった。結局統一容器は作ったものの使われない、という悲劇が起きたのである。
    7.1.6. システムの重要性
      ●リサイクルの輪が閉じて、スムーズにモノが流れるためには、技術要件だけではなく、システムが存在することが重要。
      ●市場メカニズムが活用でき、一方モノがスムーズに動くようなシステム作りが必要(ビール・ビンの例)。
      ●動脈経済の場合、自由放任で資源配分の効率性が保たれるが、静脈経済の場合そうはならない。市場がうまく機能するような制約を作ることによって、モノがスムーズにながれるようなシステム作りをしなくてはならない。


7.2. 動脈と静脈の相互関係

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