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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第9講義:逆選択(adverse selection)とパートナーシップ(1)】

9.1. 逆有償が解消しないとき
    9.1.1. 短期間のうちにバッズをグッズに変えるシステムを作ることは難しい
      ●最近ゼロ・エミッションと言う言葉が流行っているが、すべてのバッズをグッズに転換するシステムを短期間のうちで作ることは困難である。
      ●今すべてのバッズをグッズに変えることが不可能だとしたら、なるべくバッズを出さない効率的な方法を考える必要がある。
      ●バッズの扱いについて2種類の効率性がある。(1)取り引きの効率性、(2)処理・再資源化の効率性、の2つである。
    9.1.2. グッズとバッズのグレー・ゾーン
      ●グッズとバッズの区別は絶対的なものではなく、その間にはグレー・ゾーンがある。
      ●グッズとバッズでは市場の機能の仕方が異なる。したがって、グレー・ゾーンにあるようなモノは、効率的な取り扱いが難しい。
      ●バッズの取り扱いにはある種の制約が必要だが、市況が異なってグッズになるとその制約は不必要な制約になってしまう。
    9.1.3. バッズを扱う主体
      ●バッズの取り扱いには制約が必要であり、そのためそれを取り扱う主体にも何らかの許可などが必要になる。
      ●したがってバッズを扱う市場は、自由参入という訳にはいかない。
      ●実際、「廃棄物」を扱う業者は法律に基づいた業の許可が必要であり、「廃棄物」のプラントには施設の法律に基づいた許可が必要になる。

9.2. 情報の非対称性と競争のデメリット

    9.2.1. グッズと競争経済
      ●グッズの取り引きは、基本的には市場に任せておけば良い。
      ●市場は、情報を行き渡らせる機能があり、このため良質のグッズが安価に供給される。
      ●競争が行き渡ると、資源を浪費せずに生産が行われ、人々の効用も最大化される。
      ●こうして市場経済は資源配分の効率性を達成する。
    9.2.2. バッズと競争経済 -情報の非対称性の問題点-
      ●バッズの取り引きにおいて、モノの流れと貨幣の流れが同方向になる。バッズ処理を委託した主体に処理内容の情報は残りにくい。
      ●したがって取り引き主体の間に、情報の偏在ないし非対称性が発生する。
      ●こうしてバッズの取引市場では、情報が行き渡らない。
    9.2.3. 不法投棄はなぜ起きるか
      ●豊島事件や青森・岩手県境不法投棄事件などの大型不法投棄事件が絶えない。最近は、小口の不法投棄も増えてきた。
      ●処理委託をした主体に情報が残らないことを良いことに、受け取ったバッズを不適正処理・不法投棄する業者が多くいる。
      ●不適正処理・不法投棄を防ぐために、処理内容を処理委託者に伝える伝票(マニフェスト)の制度もできた。
    9.2.4. 逆選択
      ●「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則は、静脈経済にも当てはまる。
      ●情報の非対称性を利用して不適正処理・不法投棄をする業者は安い料金を提示できるために市場で生き残るが、優良業者は相対的に高い料金を提示するため、競争市場で生き残れない。いわゆる「逆選択」という状況が起きる。
      ●適正処理・リサイクルする業者を市場に残すためには、情報の非対称性に基づく逆選択問題を解消する仕組みを作らなければならない。

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