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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第11講義:PPP(汚染者支払い原則)と費用負担(1)】

11.1. PPP(汚染者支払い原則)とは何か
    11.1.1. 誤解された原則
      ●PPP(Polluter Pays Principle)とは汚染者支払い原則のことであるが、この原則ほど誤解されている原則はない。
      ●OECDで提示されたPPPは公害防止費用を事前に発生者に支払わせる原則であった。
      ●「費用を支払う」と「費用を負担する」では意味が異なる。当初のPPPにおける“Pays”には「支払う」と言う意味しかない。
      ●PPPは公害防止の費用を第1次的に公害の潜在発生者が支払うのであり、その費用を市場において上方ないし下方に転嫁される可能性がある。
    11.1.2. 公害とPPP
      ●日本の1960年代の公害経験から、PPPは「汚染者負担原則」と理解されるようになった。
      ●公害企業が被害者に賠償するのは当然のことである。
      ●公害企業が被害者に賠償する原則としての「汚染者負担原則」とPPP当初の「汚染者支払い原則」は区別される必要がある。
    11.1.3. 事前的価格補正の意味 -ピグー税との関係
      ●OECDのPPPは外部費用を内部化する原則と理解されるべき。
      ●PPPが適用されると、価格体系は影響を受け、公害防止をあらかじめ織り込んだ価格体系が成立する。
      ●この考え方は、ピグー税の考え方と基本的に同じものである。すなわち、外部不経済の内部化という考え方である。
    11.1.4. 社会的費用と環境要素
      ●社会的費用は、私的費用と外部費用との和からなる。
      ●社会的費用が私的費用より大きい場合、外部費用を発生している企業は生産物を最適量よりも過大に生産している。外部費用を内部化すれば、過大生産は補正される。
      ●環境要素を入れた場合の資源配分の効率性確保が、外部費用の内部化論である。

11.2.市場原理と費用負担
    11.2.1. 市場は費用の変化にどう対応するのか
      ●外部費用を内部化された企業が1つだけの場合、完全競争市場ではその企業は費用を転嫁することができない。
      ●しかし多くの同種の企業に外部費用の内部化が要請されるとき、価格転嫁が起きる。
      ●価格の転嫁(shifting)と帰着(incidence)の問題は、間接税の転嫁・帰着の問題と同じである。
    11.2.2. 価格体系の変化
      ●企業の外部不経済を内部化させると、限界費用は上昇し、このため供給曲線は上にシフトする。
      ●通常、企業の生産量は減少し、市場価格は上昇する。
      ●しかし、どれほど生産量が減少し、どれほど市場価格が上昇するかは市場の条件による。
    11.2.3. 外部費用の転嫁と帰着 -需要の弾力性
      ●生産量の変化と市場均衡価格の変化は、需要と供給の弾力性に依存する。
      ●たとえば需要の弾力性が大きければ大きいほど生産量の変化は大きく、市場価格の変化は少ない。この場合、費用の転嫁はできにくく、負担も企業側が大きくなる。
      ●需要の弾力性が小さいほど生産量の変化は小さく、市場価格の変化は大きい。この場合費用の転嫁はやりやすく、負担は消費者側が大きくなる。

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