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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第12講義:PPP(汚染者支払い原則)と費用負担(2)】

12.1. 応分の負担とは
    12.1.1. バッズの処理費用の支払い原理とPPPとの相違
      ●これまで適正でなかったバッズの処理費用を適正にしようとすると、付加的な費用が必要になる。
      ●しかし、その場合の費用支払い原理とPPPとの間には相違がある。
      ●産業廃棄物というバッズの処理の場合、少なからず市場で行われている。また、一般廃棄物というバッズの場合、税金処理で費用が支払われている。
      ●しかし、従来の費用支払い方法では、バッズの発生・排出抑制を効果的に行えないのである。バッズの最適制御のための費用支払い原則が問われている。
    12.1.2. 責任とイニシアティブ -システム構築の費用
      ●バッズの発生・排出抑制の場合、適正処理・再資源化のためのシステムを構築し、運営するための費用が必要になる。
      ●バッズの適正処理・再資源化は公害防止投資と異なり、企業単体で行うことが難しい。バッズの発生・排出抑制のためには企業間での情報の受発信、共同の処理・再資源化などが必要になる。
      ●家電リサイクルでも自動車リサイクルでも、システム構築・運営に多大な費用がかかる。
    12.1.3 応分の負担
      ●論理的には、適正処理・再資源化の責任論と費用負担論は異なった次元の問題である。
      ●責任論としては、拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility, EPR)と排出者責任、適正処理責任が必要になる。
      ●しかし、費用負担は市場機能によって決められる。一旦支払いルールが決まったら、あとは市場が費用負担を決めてくれる。
      ●経済主体の応分の負担には、責任の分担と費用負担の分担の2つがあるが、多くの場合混乱して議論されている。

12.2. 市場を活用することの本当の意味
    12.2.1. 企業の自主性を尊重することは市場を利用するということ
      ●環境保全を要請されるとき、企業は自主的取組を主張することが多い。しかし何の保証もない自主的取組は効果の保証がない。
      ●バッズの発生・排出抑制の責任が明確化され、費用支払いルールが定まると、費用負担は市場を通じて確定する。資源配分の効率性も向上する。
      ●バッズの発生・排出抑制によって費用は削減されるから、静脈技術の技術進歩も加速される。
      ●明確な責任ルールと費用支払いルールを定めると、その後は市場が問題を解決してくれる。市場の活用は、経済主体の自由も保証する。
    12.2.2. 消費者の選択の意味合い
      ●市場活用は企業ばかりではなく、消費者にも便益をもたらす。
      ●バッズになりやすいグッズの価格が市場で高く決まっているとする。それを欲する消費者は高い処理費用を支払うことによって一種の責任を果たすことになる。
      ●バッズの適正処理・再資源化費用が正しく市場価格に反映している限り、消費者には選択の自由が保証される。
      ●同じことは環境税についても言える。
    12.2.3. 費用支払いと費用負担に関する留意事項
      ●適正処理・再資源化の費用が正しく市場価格に反映されると、バッズになりやすいグッズは相対的に高くなる。
      ●そのようなグッズを選ばざるを得ない消費者が社会的弱者である場合、社会的公正の観点から問題である。
      ●環境保全のための追加的費用が社会的弱者に重くかかるような場合、所得の再分配や社会保障などによって負担を軽くするようにしなければならない。

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