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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

【第15講義:バッズのマクロ経済学(1)】

15.1. ハーマン・デイリーの不満
    15.1.1. 現代マクロ経済学
      ●経済学はこれまで本格的に環境問題、とりわけバッズの削減問題に取り組んでこなかった。
      ●環境問題は、ミクロ経済学のテキストで外部不経済の問題としてわずかに取り上げられているのみである。
      ●著名な環境経済学者であるハーマン・デイリーは、標準的なマクロ経済学のテキストにおいて環境問題がほとんど取り上げられていないと指摘している。
    15.1.2 経済学における資源とは
      ●経済学のテキストで「資源」という言葉が出てくるが、それは天然資源(自然資源:natural resources)を意味するのではなく、生産活動に投入されるあらゆるものを意味する。
      ●経済学は、稀少性の観点から資源の配分問題を考える学問である。
    15.1.3. 経済学とバッズ
      ●バッズを含めた資源配分の問題は、従来の経済学を基礎としながらも、単に環境要素を含めた上での資源配分問題とは異なる。
      ●なぜなら、バッズは稀少性から言うとマイナスの存在であり、費用をかけてその存在を滅却すべき対象だからである。
      ●自由処分(無料処分)の仮定が妥当すれば、従来の経済学のままでバッズの問題を考えることができるが、実際には自由処分の仮定は受け入れられない。
    15.1.4. 進む学際化
      ●環境経済学は、様々の学派の研究者が議論を交わすことによって発展している。
      ●また、環境経済学を学ぶためには法律や行政制度などに対する深い知識が必要である。
      ●環境経済学は学際的な学問になりつつある。


15.2. マクロ経済メカニズムの誤解:蚊が増えるとGDPは増えるか
    15.2.1. マクロ経済学における価格調整と数量調整
      ●環境経済学は、従来のミクロ経済学と共にマクロ経済学をも基礎としている。
      ●マクロ経済学の復習:GDPがどのように決まるかについて、価格調整による考え方(古典派的考え型)と、数量調整による考え方(ケインジアンの考え方)の2つがある。
      ●価格が伸縮的に動く結果GDPが決まると考える市場重視の考え方が前者で、有効需要の水準に数量が調整してGDPが決まるとするのが後者の考え方。
      ●前者の見方をすると、非自発的失業(involuntary unemployment)はないが、後者の見方では非自発的失業が長期にわたって存在する。
      ●前者の見方では、政府の裁量的な経済政策は効果がないが、後者では有効需要政策は効果を持つ。
    15.2.2 蚊が増えるとGDPが増えるか
      ●かつて「公害が起きるとGDPが大きく算出されるからGDP指標はおかしい」という議論があった。これは「蚊が増えるとGDPも増える」という議論の構造と同じもの。
      ●しかし公害が起きてGDPが大きく算出されるなどということはほとんどない。
      ●価格調整主義に考え方を採ると、公害が起きてGDPが増えることなどありえない。既に完全雇用均衡が達成されているからである。
      ●数量調整主義の考え方でGDPが増えるとすると、それは有効需要に純増があったときのみ。しかし蚊が増えようと、公害が起きようと、それによってGDPが増えるほど有効需要が純増することはほとんどない。

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