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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第16講義:バッズのマクロ経済学(2)】

16.1. GDPで生活の真の豊かさを測れるか
    16.1.1. 問題なのはGDPの中身
      ●GDPが生活の真の豊かさを測る指標ではない、ということは正しい。
      ●GDPは一定期間に測られた一国の付加価値の総和である。付加価値は、安全や環境などといった価値を測れない。
      ●GDPは集計概念であり、内容を問わない。
      ●GDPは所得分配の平等を問わない。
    16.1.2. GDPのもう一つの問題点
      ●GDPはフロー概念である。
      ●人間の豊かさはフローの大きさのみでは測れない。ストックの大きさにも影響される。
      ●特に環境要素は、自然資本などのストックによって規程されるのでGDPで環境の価値を測ることは不可能である。
    16.1.3. 豊かさとは何か 
      15.2.4. GDPのもう一つの問題点
      ●豊かさの中身を定義することは難しい。
      ●GDPはそれなりに一貫した指標で、市場価値で測るので、物理的な豊かさの一部を測っている。
      ●経済的に測れるものだけを測ろうとすると一貫した指標が作れるが、豊かさ全般を測ろうとすると、誰もが納得する一貫した指標は作れない。
    16.1.4. ケインズ政策の罠
      ●GDPだけを豊かさの指標として勘違いし、ケインズ政策を行うと逆に国民の豊かさを実現できないかもしれない。
      ●また、現在のように市場が飽和している状態では、仮にケインズ政策を行ったとしても、波及効果はおきにくい。
      ●更に、ケインズ政策が採られるとき、グッズがバッズになったときのことまで考慮してなされるわけではない。
      ●一時の物質的豊かさを求めてケインズ政策を行った結果、後に大量のバッズがツケとして残る、という可能性のほうが現在では大きい。

16.2. 新しい社会への移行とその調整費用

    16.2.1. 2つの選択肢
      ●今の経済には2つの選択肢がある。バッズの発生・排出抑制のメカニズムを組み込まないまま経済運営をするか、あるいは組み込んだ経済運営をするかという選択肢である。
      ●消費者も生産者も行政も後者の方が良いと考えているのだが、なかなかそうした方向に経済は動いてこなかった。
      ●しかし、各種個別リサイクル法が施行され、徐々にバッズの発生・排出抑制の方向に経済が動くようになった。
    16.2.2. 経済システム転換の難しさ
      ●これまでの経済は、動脈経済の運営ばかりを考える方向にロック・インされてきた。
      ●それをバッズの発生・排出抑制を組み込んだシステムに変えるには、摩擦が起きる。ロック・インされた経済の発展経路を変えるのは容易ではない。
      ●発展経路を変えるには、各経済主体レベルで、また国のレベルで、調整するための費用が必要になる。
    16.2.3. 所得分配の変化
      ●経済の発展経路を変えると、所得分配の構造にも変化が生じる。
      ●所得分配で不利な影響を受ける経済主体は、そのような発展経路の変更に抵抗する。
      ●しかし、発展経路の変更によってマクロ的には経済が新しい発展の方向をとる場合、その方向に経済の舵を切るべきである。
      ●特に、バッズの発生・排出抑制を組み込んだ発展経路を模索しないと、バッズの蓄積によって将来の経済は必ず阻害される。なぜなら、そうしないとマクロ的に多くの人々の所得が低下する可能性が大きいからである。

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