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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第17講義:環境制約と経済成長(1)】

17.1. 環境ビジネスは成長を支えるか

    17.1.1. 静脈産業とビジネス
      ●バッズの発生・排出抑制の組み込まれた経済は、GDPの成長が低下する経済かという疑問が生じる。
      ●しかし現在エコ・ビジネスといわれる産業が発展しつつあり、多くの企業が参入しつつある。
      ●個別リサイクル法などの枠組みができた現在、新しいビジネス・チャンスが生まれつつある。
      ●家電リサイクル法の下、適正な利潤を上げている企業は多い。
    17.1.2. どこにでもある機会
      ●静脈経済で付加価値を生み出すチャンスはたくさんある。
      ●既に家電やパソコンのリユース、リサイクルがビジネスとして進んでいる。
      ●静脈物流も新展開を遂げている。
    17.1.3. メインテナンス型経済
      ●バッズの発生・排出抑制を進めるためには、グッズを長期にわたって使いまわすことが必要。
      ●本来、人間は物理的なグッズそのものよりも、そこから得られる機能に満足を感じることが多い。
      ●グッズをアップグレード、メインテナンスしながら長期的に満足度を高めることが必要。
      ●マクロ的に見ても、先進国ではGDPの70 ̄80%は第3次産業の付加価値からなっている。目に見えないものに付加価値がついているのである。
    17.1.4. 環境リハビリテーションの時代 -見えないものを作る!
      ●日本中をコンクリートで覆う発想は終わりを遂げた。そのような状態では、川がきれいになっても誰も水に親しみを感じない。
      ●それより、河川を自然に近づけるような努力が人々の豊かさを増す。しかもそうしたことは、現実的なことになってきている。
      ●環境修復は河川に限られない。環境を修復することによって付加価値がつくような経済にすることが必要。

17.2. 環境ビジネスと経済成長:理論的な観点から

    17.2.1. ケインジアンの経済成長論
      ●ケインジアンの経済成長論は、有効需要原理を基礎にしている。
      ●そして数量調整によるGDP決定の考え方をとる。
      ●これを長期に伸ばすと、ケインジアンの経済成長論になる。
    17.2.2 短期のマクロ均衡
      ●ここで言う短期とは、資本ストックが一定であるような時間の長さをいう。
      ●価格が伸縮的でない経済では、短期においてGDPは有効需要水準に応じて決まる。
      ●環境ビジネスの展開は、新しい有効需要が出てきたことを意味する。
      ●有効需要は貨幣的裏づけのある需要でなくてはならないし、また環境ビジネスに需要が生じたとしても他の既存の需要を相殺しては、有効需要の純増にならない。
    17.2.3. 長期のマクロ均衡
      ●ハロッド=ドーマーの理論によって長期マクロ均衡を考えてみる。
      ●ハロッド=ドーマー理論は、適正成長率(warranted rate of growth)、現実の成長率(actual rate of growth)、自然成長率(natural rate of growth)の概念を中心に展開される。
      ●適正成長率は、貯蓄率を必要資本係数で割った値である。
      ●3つの成長率は一致することはない。この成長率が異なると、マクロ経済に変動が生じる。
    17.2.4. バランスした経済成長とは何か
      ●3つの成長率が一致したとき、経済は均斉成長の状態にあるという。
      ●1955年から17年間にわたって記録された高度経済成長期には、日本経済は均斉成長に近かったといえる。
      ●しかしバブルの崩壊以降、3つの成長率は乖離し、不安定な経済状態が続いた。
    17.2.5. 環境ビジネスの発展で経済成長率は下がるか
      ●もし環境ビジネスの発展によって必要資本係数が上昇すると、適正成長率は低下する。
      ●公害防止投資の増加は、必要資本係数を上昇させる可能性がある。
      ●しかし、メインテナンスやアップグレードのようなビジネスは、逆に必要資本係数を下げる可能性もある。
      ●静脈経済全体で、環境ビジネスの展開が必要資本係数を上げない限り、適正成長率は下がらない。

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