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慶應義塾OCW >> コース一覧 >> 経済学部 >> 廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)

廃棄と汚染の経済学(2004春-秋学期)
【第19講義:バッズの管理システム(1)】

19.1. 現行の廃棄物レジームの限界
    19.1.1. 廃掃法の問題点
      ●バッズの処理を根底から支える法律が、廃棄物の処理および清掃に関する法律、いわゆる廃掃法であるが、この法律には多くの問題がある。
      ●まず、廃掃法にはバッズの発生抑制のメカニズムが備わっていない。
      ●一般廃棄物と産業廃棄物の区分も恣意的であり、効率的なバッズ処理・再資源化を妨げている。
      ●また資源の要素を持っていても、逆有償というだけで廃棄物と規定されてしまうと、効率的な再資源化が難しくなる。
    19.1.2. なぜ一般廃棄物の処理は市町村の責任なのか
      ●一般廃棄物の市町村処理は、費用が高く非効率的な面もあるのだが、理由がないわけではない。
      ●家計の廃棄物排出は生活の自然な営みの結果であり、人間の基本的ニーズに基づく。上水供給や下水処理と同じように、家庭系廃棄物処理も万人に供給されるべきサービスと考えられる。
      ●家庭から出るバッズを衛生的に処理することを、市場メカニズムに任せることは従来難しかった。
      ●行政による処理は、取引費用を小さくする側面もあった。
    19.1.3. 行政主導の処理・再資源化の問題点
      ●現代のごみの中には、市町村などが処理・再資源化できないようなものが多くある。
      ●行政による廃棄物処理は、費用効率的ではない。
      ●市町村による処理は税金によってまかなわれるから、排出者である市民に発生・排出抑制の動機をもたらしにくい。
      ●一般廃棄物処理についても民間ビジネスの力を活用するときが来ている。
    19.1.4. 自地域処理原則の問題点
      ●よく「自区内処理原則」とか「自地域処理原則」とか言うが、「自区内」や「自地域」という概念は便宜的、歴史的に決められたものに過ぎない。
      ●単に行政区域を基準にして「自地域処理原則」を守るとしたら、バッズの処理・再資源化は非効率的なものになる。
      ●使用済み加工組み立て製品を「自地域処理」することは難しい。
      ●使用済み製品の属性に対応して、適正処理・再資源化の範囲を決めるのが効率的である。


19.2. バッズ・フローの最適制御(1):制御主体の観点から

    19.2.1. グッズとバッズの連鎖
      ●バッズの発生・排出抑制を促進するには、現行の廃掃法を中心としたレジームは不十分である。
      ●バッズの発生・排出抑制を行うには、動脈連鎖と静脈連鎖をうまくつなげることが必要である。
      ●更に動脈連鎖・静脈連鎖をあわせて、モノのフローの制御を行うことが求められる。
    19.2.2. バッズ・フローの最適な制御主体は誰か
      ●従来、動脈連鎖の下流部での責任の下にバッズの発生・排出抑制を行おうとしていたがそれでは効果が不十分である。
      ●バッズの発生・排出抑制を効率的行うためには、モノや産業構造などの性質を見極めた上でのフロー制御が必要となる。
      ●バッズ・フロー制御の方法として、動脈連鎖の上流で制御する方法、中流で制御する方法、そして下流で制御する方法の3つがある。
      ●自動車や家電製品は上流で制御すべき対象である。容器包装は中流で制御すべき対象である。塵芥や生ごみなどは下流で制御すべき対象である。
    19.2.3. バッズ・フローの最適制御主体と費用負担
      ●バッズ発生・排出抑制の制御主体と、費用支払いの主体は同じである必要はない。
      ●家電リサイクル法の場合、適正処理・再資源化の責任主体は家電メーカーであるが、費用支払い主体は、ユーザーである。
      ●また費用支払い主体と費用負担主体は同じではない。
      ●バッズの発生・排出抑制の費用支払い主体が誰であるかは本質的な議論ではない。
    19.2.4. バッズ・フローの最適制御における機能的責任分担
      ●バッズの発生・排出抑制の責任という場合の「責任」は機能的な責任であって、重要な役割と言う意味である。
      ●バッズの発生・排出抑制に必要なことは、一人の経済主体を見つけて一切の責任を負わせることではなく、動脈・静脈の連鎖に関わる主体が責任分担をすることである。
      ●デポジット制度は、メーカーと消費者の責任分担をうまく定めた回収制度である。
      ●動脈連鎖と静脈連鎖をうまくつなぎ合わせて、連鎖上の各主体に応分の責任を負うてもらうことが重要である。

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