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慶應義塾OCW >>コース一覧 >> 法学部 >> 政治学基礎 I(2004春学期)
政治学基礎 I(2004春学期)
【テーマ01:政治学とは何か】
■大学教育での政治学の位置

 ・法学部型
   ドイツの「国家学」がお手本
 ・政治経済学部型
   イギリスの political economyがお手本
 ・社会科学型
   戦後のアメリカ型大学をお手本
 ・総合科学型
   学際・総合志向の具体的問題解決学

■政治理論史における政治学の位置

   ・アリストテレス
   ・マキァヴェリ
   ・ホッブズ

・アリストテレスの学問区分

  学の形態  知の形態     具体的学科/特徴
  ┌theoria ─episteme    数学、自然科学、形而上学
  │   ‥‥‥運動原理が対象そのものの中にある
  ├praxis ─phronesis     理学、政治学、家政学
  │   ‥‥‥運動原理が対象たる行為者の中にある
  └poiesis─techne      芸術、詩学、医学
      ‥‥‥運動原理が対象の外の行為者の中にある

   政治学とそれを支えるプロネーシス(実践知):
    人間を人間たらしめているポリス(「人間は本性上ポリス的動物である」)
    ポリスにおける最高善の実現、そのためにポリスという共同生活の場で、
    あるべき秩序をめぐって市民が対話を繰り広げ、ポリスの秩序を形成していく
    実践の重視
   対話の実践を支える知の形態:プロネーシス
    変転きわまりない政治生活を確立・維持するのに必要なプロネーシスには
    厳密な論証、確実性は不要


 ・マキァヴェリ(1469~1527)の政治学
   運命fortunaに翻弄されるのではなく、それをvirtuによって克服するという
   戦略的実務能力、人間操縦術(技術知としての政治学)
   秩序は力によって作り出されるので、道徳や宗教によってではないとの認識

 ・ホッブズ(1588~1679)の政治学

          ┌量、運動の帰結   …第一哲学、数学、天文学
  ┌naturall philosophy          建築学、航海学
  │       └性質の帰結(物理学)…気象学、計時法
  │                   占星術、光学、音楽
  │                   倫理学、詩、雄弁術
  科学                  論理学、正義論
  │
  │          ┌主権者の権利・義務
  └政治学、civil philosopy
             └臣民の権利・義務

   ホッブズの政治学
    「科学」(理論知)への志向性
    幾何学、古典力学(原因-結果の証明)
    万人が認めざるをえない客観的真理(<-->opinion)とpassionなきmore geometrico
    自然科学と唯一区別される政治学

■政治科学と政治理論
    「政治的なもの」の思想史的多面性と現代における再定義の必要性
    cf. "The personal is political."・・・政治=「公的」空間? <-- 境界線引きの暴力
すべての政治理論の第一歩は、社会生活を成り立たせるためには、ある種の構成体(共同体)が不可欠であり、それを樹立し、維持するためには力(権力)に訴えかけなければならないし、またその力は実際的な効力を持たなければならないことの認識にある。」
   A.P. ダントレーヴ『国家とは何か』、11頁および42頁参照
   その場合の政治「理論」(S.ウォーリン『西欧政治思想史』参照)
      政治の科学political science(規範的なものと経験的なものの分離と前者の科学からの追放)に対して今一度要請される
          「政治理論 political theory」

  theoriaとは何だったか・・・「解放的行為」としてのtheoria
    1.観察
    2.経験の集積
    3.新たな展望の獲得
    4.観察された事象の評価

            
政治の科学political science 政治理論political theory
予測  警告
「客観的」 選択的、意図的誇張
確実知 実践的方向付け、未来への展望


■政治学=官僚・政治家養成学?あるいは非実践的実践学?

  政治家の資質    …M.ウェーバー『職業としての政治』、岩波文庫
  情熱Leidenschaft
  責任感Verantwortungsgefuehl
  判断力・見識Augenmass
非実践的な実践学=政治学?

■「市民」の学としての政治学
 市民の概念
  ブルジョワbourgeious (仏)
  ビュルガーBuerger (独)
  「市民」<=>「国民」、「有権者」
  「自己決定」と「共生」

    規範的概念としての市民:
  「十全な市民権を享受し、政治参加の権利あるいは義務を持つ者」(岡野八代)


★参考テキスト
萩原能久「ラビリンスワールドの政治学」、日本評論社『法学セミナー』(全12回連載より「ガイダンス」)
萩原能久「<政治的なもの>の概念」、『国家の解剖学』(日本評論社)
S.ウォリン『政治学批判』、みすず書房
S.ウォリン『西欧政治思想史』、福村出版
アリストテレス『政治学』、『ニコマコス倫理学』、岩波文庫
N.マキアヴェリ『君主論』(中公バックス 世界の名著)
T.ホッブズ『リヴァイアサン』(1)、(2)、岩波文庫
M.ウェーバー『職業としての政治』、岩波文庫
A.P.ダントレーヴ『国家とは何か』、みすず書房
岡野八代『シティズンシップの政治学』、白澤社

★政治学辞典・事典について
『現代政治学小辞典』新版、有斐閣
『政治学事典』、弘文堂
『現代政治学事典』、ブレーン出版
『新社会学辞典』、有斐閣

★この講義全体との連関で
杉田敦「主権・境界線・政治」(岩波書店、『思想』2004年第3号)

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