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慶應義塾OCW >>コース一覧 >> 法学部 >> 政治学基礎 I(2004春学期)
政治学基礎 I(2004春学期)

【テーマ02:権力】

* 権力とは何か
Powerと「権力」

・自然 対 自然
ex. 重力
・人間 対 自然
ex. 労働力
・人間 対 人間

この区別は不要か?
Cf. A.ギデンズの定義するPower:「一連の所与の事柄に介入し、
なんらかの方法でそれを変化させる能力」 = transformative capability

■権力実体説と関係説
*権力実体説
*権力関係説(機能的権力観)・・・権力は「財」か?

*M. Weberの「権力」概念
参照『職業としての政治』、岩波文庫 
Macht:「権力」

    「ある社会関係の中で、抵抗を排除してまで自己の意志を貫徹させる可能性(チャンス)」


   Herrschaft:「支配」
    「一定の内容を持つ命令に、ある所与の人々が服従する可能性(チャンス)」

    *R. A. Dahlの「権力」観
    参照:Robert A. Dahl(1915- ), The Concept of Power, Behavioral Science, 2, July, 1957
    "A has power over B to the extent that A can get B to do something that B would not otherwise do."


■ダール批判

  1.権力理論の新たな転換
    ・P. Bachrach & M.S. BaratzによるNon-Decision Making論
       ・・・agenda controlの問題
    ・S. Lukes "Power. A radical view" 1974(『現代権力論批判』、未來社)の言う
    権力の「第三の顔」
        選択肢そのものを操作する権力

 2.「反実仮想」(反事実的仮定)の問題
    「実験」のできない社会科学・・・歴史に「もしも・・・」はないが、社会科学はそれを想定する。
    Something that B would not otherweise doを認定するのは誰か?
    「主観性」を回避した客観性の捏造
    行動主義(行動論:behaviorism)政治学の意義と限界
    black boxとしての人間?

 3.権力行使のパラドックスと権力の「非対称姓」
    権力行使のパラドックス
    「使われない権力こそ最大の権力である」あるいは「権力は行使されてしまえば劣化する」
    ・・・国際政治の抑止理論
    権力:物理的強制力の支配か、意味の支配(negative sanctionを用いた相手の
    合理的判断力(≠非合理性)への作用か)

   
パラドックスの解消へ:方法論的個人主義の限界と「制度」レベルの視点の導入

参照:盛山和夫『権力』
射影空間としての個人レベル権力:「泣く子と地頭には勝てない」
「関東軍の暴走を止められなかった日本の本国政府」

  

    「negative sanctionによる相手の行動制御」と「強要」の相違

 
ゲームの理論における囚人のジレンマ
A\B 自白 黙秘
自白 -5,-5 -1,-10
黙秘 -10,-1 -2,-2
    
   もし相手が必ず黙秘することを知らない限り、相手が自白した場合の
   大きな損を考えてこれを避けるため双方が自白する。

■まとめ
    ダールの権力論では権力手段についての定式化の曖昧さが目につくが、最も重要なのは権力関係における、被支配者の持つイメージの重要性
        -->権力と人間の自由:「幸福な奴隷」
    そうであるとすると、次回以降に述べる「権威」や「イデオロギー」の概念が重要となる。

    ★参考テキスト
    萩原能久「ラビリンスワールドの政治学」、日本評論社『法学セミナー』(全12回連載より「馬場と猪木はどちらが強いか」)
    M.ウェーバー『職業としての政治』、岩波文庫
    A.ギデンズ『国民国家と暴力』、而立書房
    R. A. Dahl, The Concept of Power, Behavioral Science, 2, July, 1957
    S.ルークス『現代権力論批判』、未來社
    杉田敦『権力』、岩波書店
    杉田敦『権力の系譜学』、岩波書店
    盛山和夫『社会科学の理論とモデル3 権力』、東京大学出版会
    B.ラッセル『権力 その歴史と心理』、みすず書房
    A.ホネット『権力の批判』、法政大学出版局
    R.ダール『現代政治分析』、岩波書店
    C.W.ミルズ『パワー・エリート』、上・下、東京大学出版会

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